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授業No.028「いっぱいの命に守られて生きること。」

先日、多摩市立北豊ケ丘小学校(東京都)で開催した授業のご報告です。

対象は6年生2クラス計43名です。講師はテキスタイルクリエーターの辛島綾氏(‘96本学染織デザイン専攻卒業)です。

授業では、いつも身につけている服や着物の製品の原料が、生き物から出来ている事を学びました。
子ども達に育ててもらった蚕の繭から糸をひき、小学校にある自然林の植物からとれる染料で染色を行ない、そうして出来た素材から作品を制作しました。
私たちが多くの命に守られて生きていることを知ってもらう授業です。

今回は授業本番前に行なった事前準備の様子をご紹介したいと思います。
9月4日(金)9:30〜18:00に多摩美術大学テキスタイル棟の施設をお借りして
辛島講師と北豊ケ丘小図工専科教諭の川原先生、スタッフ(原田智子さん'85GD卒、黒川由美子さん'92GD卒、作田洋子さん造デ4年、仲井沙織さん造デ4年、中井稚子さん工芸4年、佐藤 翔さん彫刻1年、担当理事の菅原公毅理事・和田則夫理事、事務局の泉谷・森 計12名)で、
授業で使用する蚕の準備、更に子ども達が授業で行なう蚕を使ったいろいろな表現方法の勉強会をしました。


まずはじめにこれが蚕の繭です。


授業では蚕の単繭(たんけん)と玉繭(たままゆ)を使用します。
蚕が1頭で作った繭が単繭、2頭で作ったものが玉繭です。
玉繭の方が繊維の量が多く、繭が大きいです。

下の写真は玉繭を化学染料で染色している様子です。





スタッフが蚕の繭から蛹(さなぎ)を取り出している様子です。
その数430頭分!



蛹(さなぎ)を取り出した玉繭を7色の化学染料で染めます。
授業当日はこの化学染料7色に加え、植物からとる染料の8色が加わり、
計15色の玉繭で制作を行ないました。





これで玉繭の準備は完了です。
つづいて授業で行なう蚕の繭を使った表現技法を勉強しました。
下の写真は玉繭で紬糸(ちゅうし)を行なっている様子です。
2人1組で「縦!横!」と、かけ声の方向にゆっくりとひっぱっていきます。
あっという間に玉繭が真綿になる様子は感動の瞬間です。







紡ぎ糸です。
真綿を少しずつ指で縒り、膝へこすりつける様に伸ばしていきます。



生糸です。
繭から生糸が出ている様子が分かりますか?
授業では子ども達が育てた蚕(単繭)も生糸にしました。



繭毛羽です。
繭のまわりのワタの様な部分、蚕が繭を作るために吐き出す足場を繭毛羽といいます。
1つの繭からほんの少ししか取れない素材です。
セリシンという成分が多く含まれており、糊のような性質をもっているため
霧吹きで水をかけアイロンで圧縮すると、簡単に不織布のようになります。





その他、繭をやわらかく煮て、四角く広げた角真綿も当日は使用しました。
次回はこれらの素材、表現技法を使って行なわれた授業当日の様子をご紹介します。
つづく
(森)

Posted by 出前アート大学 15:47  

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