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No.037 「映像であそぼう」ご報告!


2月4日(金)に板橋区立常盤台小学校にて4年生3クラス94名の児童を対象に、「映像であそぼう」という授業を行いました。講師をしてくださるのは、写真家の屋代敏博さんです。みんなで協力して被写体やカメラマンになることで映像の世界に親しみ、そこから伝わる面白い効果や時間感覚など、普段とは違う物事の見え方を体験しました。その様子をご報告します!



授業名:「映像であそぼう」
対象:板橋区立常盤台小学校(94名)4年生3クラス
講師:屋代敏博 氏('94本学美術学部二部芸術学科卒業)
日時:2月4日(金)8:45〜15:15
場所:板橋区立常盤台小学校 体育館、校庭



8:45〜9:35 (1時間目)


「オリエンテーション、「94名で渦をつくる」」

4年生3クラスの児童が体育館に集合しました。出前アート大学特製の名札を胸に貼ったら、授業開始です!挨拶の後、スタッフの自己紹介をしました。全員の紹介が終わったのですが、あれ?主役の屋代先生がいません。さっきまでいたはずなのに…。と、体育館のどこからか、屋代先生の声が聞こえてきました。



「おーい!!」と突然跳び箱の中から屋代先生が登場!真っ赤な全身タイツに、カラフルなテープが巻かれて、大きな星形のサングラスを掛けています!意外すぎる先生の登場に、体育館は驚きと笑いに包まれました。


さて、屋代先生は普段どんなことをしている人なのでしょう?「回転回」という代表作を紹介してくれました。屋代先生や人がその場でクルクル回転している様子を、カメラで撮影し、写真の作品を発表しています。今回はその映像バージョンに挑戦するそうです。授業で行なうバレット撮影という方法を教えてもらいました。
※バレット撮影…映画「マトリックス」で使用された特殊効果で、被写体の周りにカメラを複数並べて全方向から撮影する方法


まずはみんなで体を動かしましょう!顔の運動、腕をくるくる回したり、足踏みしたり、ジャンプしたり。体が温まったら、「94名で渦をつくる」の撮影開始です。屋代先生の号令で、歩いたり、走ったり、電車になったり、渦巻きになって回ったりしました。大勢の児童が歓声を上げながら元気に動き回る姿は、圧巻です。さあ、キャットウォークから撮影された写真が、どんな映像になるのか楽しみです。


09:40〜12:20 (2〜4時間目)

「彫刻になろう」

2時間目から4時間目までは、ひとクラスずつ授業を行ないました。カメラを12台円形に組んで、児童達が中心で彫刻になり、セルフタイマーで一斉に撮影をします。3チームに分かれ、それぞれの役割を順番に担いました。



「彫刻」では、円の中心に入りチームで彫刻になってポーズを決めます。どんな彫刻になろうか、みんなで考え、小学校にあるフラフープや三角コーン、ボールなどを取り入れて、チームごとに独創性のある彫刻になりきります。



「撮影」では、一眼レフカメラのボタンを一斉に押して撮影をします。撮影する際は、全員で声を出して5,4,3,2,1とカウントダウンをし、みんなのタイミングを合わせ、シャッターを押します。


「風景」では、撮影をした際、被写体である彫刻の背後が写るため、作品の風景となって、それぞれに面白くポーズを決めて写ります。


各工程の撮影が終わるごとに、校長室で編集作業が迅速に行なわれていました。撮影した写真を繋げて上手く映像にみえるか、スタッフでチェックをしています。撮影したものが、すぐに映像に早変わりするところが、今回の授業の特徴です!
(門脇校長先生、校長室をお貸しくださり、ありがとうございました!)


13:40〜14:25(5時間目)


「94名で人をつくる」

お昼休みを終えて、今度は3クラス全員で撮影をします。児童にはランドセルを背負って集まってもらいました。映像の中で小学校らしさを入れようという屋代先生のアイデアです。児童が人がたを作りながら、手を繋いでゾロゾロと歩いたり、その場でクルクル回ったり。みんなで歩調を合わせてかたちを作るのは、至難の業です。人がたの出っ張りやへこみの部分にスタッフがポイントとして立って、一緒に歩いて児童を誘導しました。校庭にいる私たちには人がたが上手く出来ているのかは、全く分かりませんでしたが、4階の教室から撮影をしている屋代先生からはいいよ〜!と声がかかります。最後は一斉に校庭の隅に散って、撮影が終了しました。


14:30〜15:15(6時間目)



「鑑賞会」

みんなで撮影した写真はどんな映像に仕上がっているのでしょう?わくわくしながら11作品の鑑賞をしました。「94名で渦をつくる」、「94名で人をつくる」はスローモード撮影をして被写体がブレているので、みんなの体が絵の具のように溶けた感じになっていました。それが少し早回しで溶け合いながら変化していき、渦や人がたが大きな生き物のようで不思議な映像になりました。「彫刻になろう」では、つぎつぎと視点が変わり、なんだか目が回ってしまいそう。映像だからできる面白い動きや効果に、児童の笑い声が絶えませんでした。最後に屋代先生から、みんなで一緒に同じ体験、時間を共有したことを大切にして欲しいとお話がありました。


遊ぶようにみんなと時間を過ごしましたが、完成した映像の中では、ひとり一人の姿がひとつの固まりに、またバラバラになったり、それが全く別の生き物のように見えたりと、不思議で面白い作品が完成しました。沢山の仲間と一緒だからこそできた、かけがえのない体験になったのではないでしょうか。

この大規模な授業のために、多くのサポートがありました。
まず、非常にプロフェッショナルな動きをしてくれたアシスタントスタッフの皆さん、渡辺 望さん、前澤妙子さん、山本 渉さん、矢川健吾さん、林 陽里さん、嶋田洸介さん、河田涼士さん、三石啓子さん。
そして常盤台小学校は、授業担当の津田理事の母校でもあり、同窓生の方が見学にいらしてくださいました。佐波圭子さん、吉野京子さん、百瀬英一さん、佐藤 宏さん。
後述いたしますが、これからお世話になる板橋区立美術館の学芸員、弘中智子さん、佐藤さおりさん、松岡希代子さん。
出前アート大学からは、元理事の安藤 亨さんと上村二基さん。坂井忠平会長、清水満久理事、和田則夫理事、齋藤敦子理事、塩川 岳理事。

授業で使用した一眼レフカメラ12台は、キヤノンマーケティングジャパン株式会社よりご提供いただきました。

皆様のお力添えで、授業が実現いたしました。本当にありがとうございました。

そして最後に、常盤台小学校の門脇 正校長、湯澤斉之副校長、4年生担任の山田泰浩先生、佐々木このみ先生、宮一純子先生。実施において、幾度にも渡る打合せへのご協力と的確なアドバイスをいただきました。本当にありがとうございました。

今回の出前アート大学で行なった授業は、板橋区立美術館で発表される予定です。屋代先生を含めた数名の作家の方のグループ展となります。詳細は美術館のホームページをご覧下さい。また開催が近くなりましたら、ご案内いたします。

板橋区立美術館ホームページ 
http://www.itabashiartmuseum.jp/art/index.html

「発信//板橋//2011」
会期:2011年2月26日(土)〜3月27日(日)9:30〜17:00(入館は16時まで)
観覧料:一般 300円 高校・大学生 100円 小・中学生 無料


まだ、授業のお楽しみは続きます。これからもどうぞご注目ください!


(中井)

Posted by 出前アート大学 8:51  

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