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出前アート大学 No.043「ガチャガチャをつくろう!」ご報告



10月18日(木)に武蔵野市立境南小学校にて6年生78名の生徒が参加し、「ガチャガチャをつくろう!」という授業を行いました。

講師はマルチクリエイティブ会社「ザリガニワークス」の武笠(むかさ)太郎さん(1997年グラフィックデザイン卒)と坂本嘉種(よしたね)さん(1995年グラフィックデザイン卒)です。
今回の授業は、児童が6〜7人は1組となり、ガチャガチャをつくります。企画立案から商品化までの流れを、景品や機械、看板をつくりながら体験し、相手を想像したり、伝えたいことを形にしていきます。最後は気に入ったガチャガチャで買い物をし、開発者と利用者両方の視点から、モノを通したコミュニケーションを考えました。その様子をご報告します!

出前アート大学No.043「ガチャガチャをつくろう!」

講師:ザリガニワークス
武笠太郎 氏(1997年グラフィックデザイン学科卒業) 坂本嘉種 氏(1995年グラフィックデザイン学科卒業)
日時:10月19日(木)9:00〜15:20
場所:武蔵野市立境南小学校 体育館
対象:6年生78名(男子39名、女子39名)

(1時間目)自己紹介・講師作品紹介・ガチャガチャづくりの説明

6年生が体育館に集合し、授業が始まりました。まずはスタッフの自己紹介です。今回は多摩美術大学の在校生と卒業生あわせて7名がアシスタントスタッフとして参加しました。

スタッフの挨拶の後、ユニホームでもあるオリジナルのつなぎを着た、ザリガニワークスの武笠先生と坂本先生が登場しました。

スライドを使った作品紹介では、「欲しかったのはこれじゃなーい!!」とプレゼントを開けた子どもが思わず叫んでしまう「コレジャナイロボ」や、置いておくだけで周囲を緊張させる「自爆ボタン」、戦うサラリーマンの姿を形にした「土下座ストラップ」が紹介されました。「土下座ストラップ」は多くの児童が知っており、武笠先生と坂本先生は驚きつつもとても嬉しそうです。

他にもガチャガチャ用に企画した「イタズラ研究所」は、コンセントやコインの投入口、魚の頭!の形をした立体シールで、好きな場所に貼って驚かすことができるというものなど。面白くて豊富なアイデアの数々に笑いが絶えません。

<土下座ストラップ>


 <自爆ボタン>


 <イタズラ研究所


そして本日の授業、ガチャガチャづくりの説明です。
まずはチームでテーマを決め、その後にガチャ玉にいれる景品づくりをし、班にわかれて機械と看板、発表ボードをつくります。


(2時間目)ガチャガチャのテーマを考える 景品づくり




早速、テーマを決めるための話し合いがスタートしました。このテーマ決めこそが企画の方向を決める一番大切なポイントです。それぞれが面白いと思うものをだしあい、「欲しい」「買いたい」と思わせる商品になるようテーマを絞っていきます。

テーマを決めるヒントとして、景品に使えるストラップ、キーチェーン、マグネット、バッジパーツも紹介されました。1種類を選んでも、4種類全部使ってもよいそうです。


いくつかのアイデアをうまく融合させたり、そこから新たな発想を生みだすチームもあれば、材料をみながら発想を広げたりテーマを絞り込んでいくチームもあり、テーマの決め方にもチームの個性があらわれます。


先生たちも各チームをまわり、発想のヒントやテーマを絞るコツを伝えていきました。
こうして決まったテーマには、画家エドヴァルド・ムンクの代表作「叫び」と果物を組み合わせた「くだものの叫びシリーズ」、小さな木のパーツでロボットをつくるシリーズ「木(キ)ボット」、中には「ナゾの新生命体発見!」というのもありました。アイデアが湧くだろうか、テーマとしてまとまるだろうかと少し心配していましたが、どうやら取り越し苦労だったようです。意外な発想や面白い組み合わせの数々に「幅広いアイデアがでてびっくりした!」「もう企画はできているよ。皆、すごいなぁ!」と武笠先生と坂本先生も驚いていました。


(3時間目)景品づくり、ガチャ機・看板・発表ボードづくり



テーマが決まったら景品づくりです。木のチップやフェルト、色紙、モールやスパンコール、アルミ線、目玉シールなど幅広い材料からテーマにあわせて材料を選び、製作をしました。直径65ミリのガチャ玉に入るようにつくるのがポイントです。



製作が始まると「木のチップを切りたい!」「キリで穴をあけたい!」と、児童のリクエストが次々に飛び出しました。図工専科の小池先生が図工室へ道具をとりに行き、急遽、木工コーナーをつくってくださいました。これなら安全。思う形にしようと集中して作業する児童たち。

中には、材料の入っていたビニールの小袋に水をいれ、ぷにっとした触り心地の景品をつくるチームもありました。色水にしたり、ビーズやスパンコールも入れてとこだわりが感じられます。

ビニール袋はじめ、チームごとに配られた材料が足りなくなると、どのチームも積極的に他のチームにもらいに行ったり、交換を交渉していました。自分たちで考え、どんどん行動していく6年生の頼もしさを感じます。
そして、完成した景品の数々です。





完成したらガチャ玉にいれます。それぞれが魅力的で、全部欲しくなってしまいます。




(4時間目)ガチャ機・看板・発表ボードづくり

景品の次は、ガチャガチャの機械、機械につける看板、5時間目の発表会で使う発表ボードの3つの仕事を、チームの中で分担し製作します。
それぞれの担当ごとに集まって、内容やコツについて説明を聞きました。
上は看板の説明をする坂本先生、下は発表ボードを説明する武笠先生です。



看板班は、一目で何が売っているガチャ機かわかり、買いたくなる看板をつくります。



発表ボード班は、看板より細かい情報をのせ、多くの人に買ってもらえるようにアピールする宣伝ボードをつくります。


5時間目の発表会でマイクを持って話をするため、製作が終わったら原稿を書いて
発表の練習もしました。


 ガチャ機班は、段ボール箱とペットボトルを使って、ペットボトルでできたダイヤルをまわすとガチャ玉がでてくる仕組みをつくり、全体を飾ります。




ガチャ玉がスムーズにでてくるかテスト中。


仕組みができたら全体を飾り、看板班と協力しながらガチャ機を仕上げます。



看板がつくと、商品らしさが増してきます。





そして、チームごとにアイデアを凝らした12台のガチャ機が完成しました!



(5時間目)発表会

チームごとに、全員が前にでます。発表ボード班がマイクを持ち、テーマや景品の内容、特徴や工夫した所などを発表し、1人でも多くの人に買ってもらえるようにとアピールをしました。
演劇仕立てになっていたり、キャッチフレーズがあったり、2人で声を揃えて読み上げる箇所をつくったりと、発表の方法にもさまざまな工夫がみられます。




(6時間目)買い物タイム



体育館を大きく使い、半円状に机を並べてガチャ機を置いたら、いよいよ買い物タイムです。今度は買い物客の役になって、1人1回好きなガチャ機で買い物をします。児童は、チームのガチャ機の横で呼び込みをしたり、コイン代わりのシールを受け取ったりするお店係と買い物係とにわかれ、交代しながら買い物タイムを楽しみます。買い物タイムの終わりには売り上げが発表されるとあって、お店係は気合いが入ります。
武笠先生と坂本先生の「スタート!」の声を合図に、買い物タイムが始まりました。各チーム共に声をあげて自分たちのガチャ機をアピールします。



発表ボードを持ち、大きな声で呼び込みをしながら、練り歩きはじめた児童たち。活気ある光景はまるで市場のようです。





どんな景品がでてきたのでしょうか?ガチャ玉をあけるのも、友達同士見せ合うのもまた楽しみです。

そして、売り上げが発表されました。

1位は「すしづめストラップ」で13個、2位は「ナゾの新生命体 発見!」で12個の売り上げと、僅差ながら2チームが頭一つ抜きに出る結果となりました。
そして先生から、テーマと景品、看板や機械のデザインから呼びかけまでを振り返り、アイデアとその伝え方について、それぞれのチームの特性を分析したコメントがありました。

最後に先生方からお話がありました。


「チームそれぞれに面白いガチャ機ができて、皆のアイデアや考える力を感じました。面白いと思うアイデアを、モノを通してどうやって伝えていくかを感じてもらえたのではないかと思います。」坂本先生


「今日はチームでテーマを考えて、景品や看板や機械をつくり、自分たちのガチャ機と言えるものができたと思います。きっと大好きなガチャ機になったと思います。またアイデアを考えたり、つくったりすることを、みんなでやってみてください。」武笠先生


 授業の実施にあたり、武蔵野市立境南小学校 藤橋義之校長先生、橋本弥記副校長先生、6年1組の栗原トシ子先生、6年2組の峰尾恭子先生、図工専科の小池淳先生をはじめとする先生方に、多大なご理解とご協力をいただきました。

授業運営にあたりましては、
柏木 弘 校友会事務局長 、清水満久 校友会元理事、田中麻衣子 元事務局員、中島敦さん(2009年工芸科卒業)、小杉由紀さん(2009年油画卒業)、山本悠さん(2012年油画卒業)、大津萌乃さん(デザイン科4年)、唐鎌未来さん(デザイン科4年)、鈴木夏海さん(油画4年生)、矢野詩織さん(情報デザイン科3年)、吉川奈菜子さん(2010年大学院版画科卒業)に温かく力強いサポートをいただきました。

そして、多くの保護者の方々にお越しいただき、皆様のご協力のもと、無事に授業を終えることができました。
ありがとうございました。

(飯田)

Posted by 出前アート大学 15:35