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No.029「ビデオの使いかた(たぶん間違ってるけどいいじゃない)」のご報告

先週、千代田区立九段小学校での泉太郎氏(美術作家/‘02本学大学院油画専攻修了)の授業が開催されました。授業タイトルは「ビデオの使いかた(たぶん間違ってるけどいいじゃない)」です。
泉先生はちょっとした発想の転換と映像のトリックを使って、いつも見ている場所でユーモラスな出来事が起きてしまう、そんな作品をつくられています。今回の授業では5年生の皆さんとビデオカメラを使っての撮影、その映像を使ってインスタレーションを行ないます。映像に出たり入ったり、ビデオカメラを使ったいろいろな遊びをしてみましょう。

No.029「ビデオの使いかた(たぶん間違ってるけどいいじゃない)」
場所:千代田区立九段小学校
対象:5年1組(31名)・5年2組(30名)
日時:【1日目】10/21(水)
    8:40〜10:15(1組)
    10:35〜12:15(2組)
   【2日目】10/22(木)
    8:40〜10:15(1組)
    10:35〜12:15(2組)

【1日目】10/21(水)
はじめに
図工室に集まって始まりのごあいさつです。多摩美術大学校友会からやってきた出前アート大学、2日間の短い間ですがよろしくお願いいたします!

泉先生の紹介
いよいよ泉先生の自己紹介です。先生はふだんどのような活動をされているのでしょう。先生の作品「低速ベンダー」・「ラマ」・「道の尾」・「ナポレオン」見せていただきながら、つくった経緯や方法についてもお話してくれました。身近な物や風景がアイデア次第で、とてもユーモラスになるのですね。みんなも思わず「こうなっていたんだ!」とか「すごーい!」と声に出ていました。

授業でつくる作品について説明
今回は、泉先生の作品「フィッシュ・ボーン・ハンガー」と同じ仕掛けでみんなが作品をつくります。実演しながら作品について解説していただきました。

撮影方法の紹介
泉先生が実演しながら撮影方法を紹介してくれました。泉先生がイスの上に乗っている映像がテレビモニタに映っています。テレビモニタの前のペットボトルのキャップと、泉先生の足の位置を合わせると、スクリー ンに投影されている映像ではまるでキャップの上に立っているかのように見えます。
ビデオカメラを使うことで、自分が小さくなってアクションゲームの画面の中に入ったかの様に見えることを教えてくれました。道具などの物の上や下を冒険している気持ちで撮影してみましょう!

撮影
休憩の後、小学校隣りの東郷公園で撮影です。現場でビデオカメラの使いかたを確認しました。
みんなが使うビデオカメラのモニタにはマーク(短い線や斜めの線)が描かれた透明フィルムが貼ってあります。このマークに出演者の足の位置や手の位置を合わせて撮影します。なんと泉先生が地面を這うパフォーマンスもしてくれました!みんな身を乗り出してビデオカメラをチェックしています。
撮影は5名〜6名ずつの班に分かれて、監督・カメラマン・タイムキーパー・出演者という役割を交代しながら行ないました。まず出演者とビデオカメラの距離を決めましょう。出演者の足とモニタのマークの位置が合うように、ビデオカメラの向きや高さを三脚で調整します。

ストップウォッチを持ったタイムキーパーの合図で録画開始、60秒で1カットとしました。出演者は1名だけでもよいし、途中で交代するのもよし、複数名でパフォーマンスする人もいました。
これで1日目の授業は終了です。放課後、泉先生がみんなの撮った映像を編集してくださいました。

【2日目】10/22(木)
イントロダクション
さあ昨日撮影した映像をどのようにして使うのでしょうか?機材が配置された図工室で授業2日目のはじまりです。ごあいさつの後、泉先生から制作について説明がありました。

いよいよ制作
まずはそれぞれの班で撮影した映像をスクリーンに投影して見てみます。撮影していた時の印象と、こうしてスクリーンで見る映像の印象はずいぶん違うようでした。
図工室の工具や文房具、ビンや木の枝などの「物」をテレビモニタの前に組んでいきます。
スクリーンの映像(ビデオカメラを通した映像)は、自分の眼で見る世界とはちょっと違うね。」と話している児童もいました。

鑑賞タイム
各班の作品を順番に鑑賞していきました。みんな、他の班の作品にも興味津々です。
泉先生から、「演技を工夫して先生をも驚かせた班、撮影場所の背景にもこだわった班、画面の前に組む物の質感をうまく利用した班などそれぞれのユニークな世界を見ることができましたね。なるほどと思う工夫がたくさんありました。」とお話されました。
最後に児童のみなさんからお礼のあいさつをいただき、授業が終了しました。
現在、泉先生は国内外で作品を発表され、活躍されています。実は今回の出前アート大学にはイギリスでのお仕事から帰国直後にかけつけてくださいました。これからも泉先生の作品を見られる機会が楽しみですね!

授業終了後のお昼休みに1組と2組一緒にに記念撮影をしました。

最後になりましたが、5年生の皆さん、1組担任の川嶋先生、2組担任の竹下先生、そして図工の竹内先生をはじめ九段小の皆さま、本当にお世話になりました。多大なご協力をいただき、ありがとうございました。

(泉谷)

Posted by 出前アート大学 10:06  



授業No.028「いっぱいの命に守られて生きること。」その3

授業No.028「いっぱいの命に守られて生きること。」の授業2日目の様子をご報告いたします。


8:40 授業開始
はじめに辛島先生のお話
*布を作る仕事について
*布は何からできてるか?絹、麻、綿、毛の説明
*なぜ染織の道を選んだのか?
染織を選ぶきっかけとなった、国語の教科書より「一色一生」
の朗読を聞きました。

布や先生のお仕事のお話をするにあたって、
「子ども達の手で触れて実感してもらいたい」という辛島先生の想いから
絹、麻、綿、毛の実物を用意しました!
綿花の鉢や羊毛、着物一反分の2600個の繭を初めてみた子も多かったのではないでしょうか?
また、それらの素材から作った辛島先生の作品も展示しました。
植物染料で糸を染め、織った着物は圧巻でした。



9:30 植物染料作り
昨日子ども達が採集した植物で染料をつくり、繭を染めます!



はさみで細かくした植物をずんどう鍋で煮ます。
紗とザルで漉し植物染料の完成です。
完成した染料に1人2頭の玉繭を鍋の中へ入れしばらく浸けておきます。

玉繭を浸けている間に、子ども達がこの日のために育ててきた蚕の繭から糸を引きました。



1人1頭を箱から丁寧に手で取り出し、繭のまわりについている繭毛羽をとります。



先生がみんなの繭を鍋で煮るにあたって
「もらった命を身につけているからにはそのもらった命の分、生きよう。」
というお話がありました。
辛島先生のメッセージがみなさんに伝わったのではないでしょうか?
煮上がった繭を1人1頭配り、生糸を引きました。



10:35 課題の説明
今回の作品のテーマの1つでもある、「誰かのためにつくること」の説明をしました。
素材に変わった命に感謝をし、その想いをまた違う誰かに繋ぐために、
感謝したい人への贈り物の制作をします。



11:25 繭の媒染
植物の染料に浸けておいた繭に色を定着させるため、媒染を行ないます。
今回は媒染にミョウバンという口に入っても安全な薬品を使用しました。
ミョウバンを溶いた湯の中に繭を浸け、水洗いすると媒染の完了です。




以上で制作の準備は完了です!
蚕の繭を使った表現方法
を辛島先生のデモンストレーションをみんなで見ました。
それを参考にこれまでに紹介した材料を使って作品づくりの開始です。







F8号の木枠に「誰かのためにつくること」をテーマに自由に作品をつくりました。
初めて触る素材に夢中になって制作しました。







作品完成後に先生が1人1人にコメントをしました。



最後に集合写真を撮って授業は終了しました!
材料作りから作品の完成まで、2日間にわたって行なわれた今回の授業ですが、
どの行程も子ども達が真剣に取り組んでいたのが印象的でした。
得に、材料が完成してからの制作の時間では夢中になっていました。
児童の熱気がこちらにも伝わってくるようでした。

辛島先生はじめ北豊ケ丘小学校関係者のみなさま、
また材料や、資料、施設の面で協力して頂いたみなさま大変お世話になりました。
本当にみなさまのお力添えなくしては成立しえない授業でした。
改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。

(森)

Posted by 出前アート大学 12:26  



次回の授業は、千代田区立九段小学校にて開催です!

来週10/21(水)・22(木)に千代田区立九段小学校で授業を開催します。
対象は5年生62名の皆さんです。講師は泉 太郎氏('02本学大学院油画専攻修了)です。
泉先生は映像、インスタレーション展示やパフォーマンスなどで幅広く活躍中の美術作家です。泉先生の作品をご覧になったことのある方も多いのではないでしょうか。

授業名は「ビデオカメラの使いかた(たぶん間違ってるけどいいじゃない)」です。
ビデオカメラのシンプルな機能を利用した撮影、その映像をつかってインスタレーションを行います。映像について、また発想の工夫について驚きのある内容になると思っています。詳しいことを書けないのが心苦しいです。

先日、泉先生と一緒に九段小学校へ打合せに行ってきました。出前アート大学コーディネーターの飯田紀子('94油画)、担当理事の塩川 岳('93院油画)、事務局の泉谷が同行しました。図工専科の竹内とも子先生と授業の流れ確認した後、撮影場所や重要なアイテムとなる図工室の文房具・工具類も見せてもらいました。




授業開催まであと1週間です。九段小学校の皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。また、このブログをご覧いただいている方もどうぞお楽しみに!

Posted by 出前アート大学 9:27  



授業No.028「いっぱいの命に守られて生きること。」 その2

前回に引き続き授業No.028「いっぱいの命に守られて生きること。」
のご報告です。
2日間にわたって行なわれた授業の1日目の9月10日(木)の様子をご紹介します。

1日目は小学校の植物からとれる染料作りの準備を行ないました。

12:55授業開始
植物を採集をするため小学校のグラウンドに集合しました。
はじめに辛島先生からご挨拶がありました。
7班に分かれ、1班につき1種類の植物を採集しに出発です!
(この時に、植物を染料にすることは子ども達には秘密で、
明日の授業で使うということだけお話しました。)



これが北豊ケ丘小学校の地図です。
地図には採集する植物の場所と、植物の名前が書いてあります。


地図の記す場所に向かうと
目印のプレートを発見できます。


班に一枚渡された45リットルのポリ袋いっぱいに植物を採集します!




砂やホコリのついている葉はキレイに洗います。


13:30授業終了
採集した葉を細かくハサミで切ってこの日の授業は終了です。


7月に小学校を訪問した際に、辛島先生は小学校の緑の豊かさに驚いていました。
「この自然林を使わない手はないでしょう!」ということで、
植物の命から色をもらう植物染料を行なう事になりました。

小学校を歩き回り、優秀な染料といわれているドウダンツツジ、
上手く染まるか分からないものの子ども達にも親しみのあるソメイヨシノとカキ、
学校樹であるユリノキと植物が決定しました。
しかし、小学校に訪問したのは7月中旬!季節により変化する植物達が、
9月にどうなっているか心配されましたが、川原先生のご協力もあって
無事に7種類の植物が決まりました。



子ども達が採集した小学校の植物はどんな色になるのでしょうか?


9月11日(金)は採集した植物と、蚕で「いっぱいの命に守られて生きること。」
を学びます。お楽しみに!
つづく

(森)

Posted by 出前アート大学 10:44